「人新世の資本論」を読んでみて

斎藤幸平著「人新世の資本論」を読んでみました。
内容が結構難しかったので、続けて2回読みました。結論として、とても面白くまた興味深かった。また、非常に感銘を受けました。

正直なところ、私などはマルクスの「資本論」なんて、何が書かれているか概ね他者の解説で読んだくらいの知識しかなかったし、団塊世代のおっさんらがインテリくさく掲げてたダッサい思想、くらいの認識しかありませんでした。学生時代にソ連が崩壊して、中国もまだ貧乏、資本主義の権化アメリカ一強の時代にマルクス、エンゲルスってないわ~、みたいな雰囲気でした。

無論、オリジナルを理解しようとするような知恵も教養も情熱もありませんでしたがね。

それが、斎藤先生って私よりはるか年下の30代半ば?ではありませんか。あの難解でちょっとやそっとじゃ理解できないという噂の「資本論」を研究したおし、さらに著者のマルクスが残したメモだの下書きだのをかき集めてまでマルクスの思想を再度研究している世界的取り組みにも関わっているとのこと。正直驚きです。

地球がマジでヤバい

内容は、本当にひとことで言ってしまえば「地球がマジでヤバいよ!」ということ。

というか、地球そのものがどうこうではなく、人類の営み、もっと言えば資本主義経済という成長・膨張し続ける、人類が発明した仕組みによって、地球環境が人類の生存レベルを保てなくなるよというハナシ。
で、それは今後起こるのではなく、既に起こっているよ、ということ。

著者が厳しいのは、それに対して国連が提唱しているSDGsやアメリカのグリーンニューディールは意味がない、まやかしだ!とまで言ってることです。
著者の言うように、実際世界中では、大洪水や高温による大規模な山火事、氷河の溶解、超大型台風の被害など、数えたらきりがないほど発生しています。

ただ、この程度の警鐘を鳴らしている本は他にもあるように思います。
この本が面白いのは、マルクスは晩年にすでにこの事態を予測し、それに対応するための内容を「資本論」に加えるつもりだったというのです。

実は「資本論」って未完成で、資本主義は行きつく先には崩壊するところまでは予言されているのですが、その後に訪れる社会については明確にされていないのです。ソ連のレーニンや中国の毛沢東は、自分たちなりの解釈と研究で社会主義国家を作ったのですが、ソ連は崩壊、中国は今、一党独裁のガッツリ資本主義国家に変貌してしまいました。
ロシアも中国も環境汚染はハンパでないみたいですし。

やっぱりエコ!?

なんだか興味深い事態ですよね。
どうやらマルクスも資本主義後の社会について悩んでいたらしく、結局生きている間に続きを発表するに至らなかったようです。
しかし、その研究グループによると、晩年はエコロジーの観点から思索を進めていたとのことなのです。そうです、資本主義が崩壊するというより、資本主義が行き着くことで地球環境が人類の生存をおびやかすほどに破壊されることを予言し、それを避けるための社会変革を模索していたようなのです。

驚きですよね。マルクスなんて階級闘争や共産主義のことしか考えていないと思ってました。
だから、いつか労働者階級が資本家を暴力革命によって打ち倒すという予言よりも、地球環境を保つために資本主義ではない、成長や発展、膨張を必要としない社会を模索していた、という事を聞けば、なんかとても共感できます。

なんだか、マルクス先生~って気持ちになってきます。
そこには、かつて存在した農耕共同体の例が書かれています。これは、拡大や成長を指向しない、長く安定した共同体社会だったそうです。
結局、人間が幸せに生きるためにはあくなき成長なんて必要ないということでしょうか。

最近、若い世代で「資本論」が見直されていると聞いたことがます。本のなかにも、アメリカ大統領選挙でバイデンさんの対抗馬、社会主義者のサンダースさんを若者たちが圧倒的に支持していたそうです。
これも驚きですよね!

確かに最近、テスラ社長のイーロン・マスクやアマゾンのジェフ・ベゾスがやたらと巨額の投資をして、ロケットを打ち上げてるとのこと。あれって、もう地球がもたないから早く宇宙開発をしなければ、と焦ってるんですよね。
知らない間に、私も時代から取り残されていたようです。

もっと情報をしっかりキャッチして勉強せねば!

コメント

  1. […] […]

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