慎治

アニメ

お気に入りの小説

私は漫画、アニメ、映画、小説なんでも好きですが、今回はお気に入りの小説を紹介したいと思います。
まぁ、お気に入りと言ってもたくさんあるのですが、ちょっと変わり種の小説を。
作家は今野敏さんで、この方、かなり売れている作家さんです。
「隠蔽捜査シリーズ」はドラマ化されてますし、任侠シリーズの「任侠学園」はちょっと前に映画化されてましたね。Netflixでちょっと見てみたのですが、「う~ん・・・」って感じでしたがね。
他にも、いろいろなシリーズがあって、どれも読みやすくて面白い。ジャンルも多様で、警察もの、任侠もの、学園もの、SF、格闘技ものなど、本当に雑多です。
本人が武道家で空手の先生もしているだけでなく、武道研究科でもあるので、中国武術や古武術とかにもかなり詳しいです。

でも、それだけではないのですね・・・ 漫画やアニメにもめっちゃ詳しいのです! これってだいぶうれしいのです。
それらの知識が作品にちりばめられていて、思わずクスッとしてしまいます。
「隠蔽捜査」ではピンチの時に息子に勧められた「風の谷のナウシカ」を見て勇気づけられたりしてます。任侠シリーズでは、東京下町を縄張りにする古風な小さいヤクザの組の話です。
そこの組長も古風で人が良く、兄弟分がシノギのために手に入れたつぶれかけの出版社だの私立高校だの病院だのを、子分が苦労しながらも立て直していく話です。何だか分かりやすくてカタルシスがあるんですね。

慎治

で、前置きが長くなりましたが、最もお気に入りでおススメなのが「慎治」です。
これ、ヱヴァンゲリヲンのサードチルドレンではないですよ。

どこかの中学生、慎治くん。いじめられっ子で今風に言えばスクールカースト上位の勉強ができて先生にも好かれているが性格が悪いリーダーにその仲間のサッカー部のレギュラーでモテモテ君、それらの腰巾着のイケメン君にかなりヤバいいじめを受けてます。挙句、万引きまで強要され、いよいよ追い詰められて自殺まで考えます。
結局、不登校みたいになってしまうのですが、その担任の先生が変わり者です。先生としての情熱などまるでなく、生徒間のトラブルなど面倒としか思ってないのです。いじめ問題なんてまっぴらごめん、自殺者がクラスから出るなんてとんでもない!というスタイルです。

まぁいろいろあって対応することになるのですが、そのやり方やセリフが興味深い。
まず、みんなから好まれるいじめっ子三人組をまったく評価していないのです。勉強して良い成績を取って良い大学に行って、一流企業に入る、「つまらない人生だ」と言い放ちます。
いじめの事についても、自分が自殺するほど追い込まれているなら「殺してしまえ!」と言います。子どもっていうのは残酷だから、それぐらいの覚悟で対抗しないと決して収まらないというのです。
殺したところで少年法に守られるし、いじめ被害の事を訴えれば大した罪にもならないとアドバイスします。それでも、煮え切らない慎治に対して、面倒だが仕方がないので学校以外の世界を見せてやると言って、自分の家に連れていくのです。
そこで慎治の目にしたものは、モデラー(プラモデルをプロレベルで作る人)の世界を目にするのです。それもガンプラ(ガンダムのプラモデル)です。
担任の先生は、教師は適当にやっていて実はガンプラのモデラーだったのです!しかもファーストガンダム専門。
ガンダムのことをあまり知らない慎治に対してイチからガッツリとガンダムという作品の歴史を説明するのです。その説明が秀逸で、ガンダムファンにとって感動ものです。

でも話はもっとややこしくなるのです。
万引きさせられたのがヱヴァンゲリヲンのビデオで、その姿が防犯カメラに写っていたのです。店主は相次ぐ万引きに堪忍袋の緒が切れて、防犯カメラの映像をネットで公開するというのです。
さすがにそれはマズいと思った担任の先生は、教え子のために店主と交渉するのですが受け入れてもらえません。
紆余曲折の結果、ある勝負をすることで勝者となり、防犯カメラのマスターテープを奪い返せば思いとどまってもらえるのです。
その勝負の内容が秀逸、サバゲーです。サバゲーってなにかって?サバイバルゲーム、まぁ要するに戦争ごっこです。とは言え真剣勝負ですよ。
条件は、慎治自らが参戦すること。もちろんチーム戦、店側も本気です。
この作品の面白いところは、みんな真剣なんです。モデラーもサバゲーもそれぞれの登場人物が各分野の専門家で、みんな真剣に取り組んでおり、それに参加する仲間たちには真摯に接するのです。
ですから、真剣な想いで参加する慎治を誰も子ども扱いしません。その中で、慎治は戦いのために中国拳法を武道マニアの師匠から学ぶのですが、その師匠も明らかに変人ですが真剣に教えるのです。
お店側もサバゲー界の実力派チーム「虎部隊」を傭兵として雇います。

長くなりましたが、そんなこんななやり取りの中、慎治はいかに学校って場所が「ちっぽけな世界か」ということを実感していくのです。
そんなちっぽけな世界で調子に乗っているいじめっ子3人組も、全くもってちっぽけな存在に思えてくるのですね。
その後、諸々の経過があり、マスターテープをかけた勝負は、最後、慎治と虎部隊のリーダーの一騎打ちとなり、唯一マスターした中国拳法「八極拳」の体当たり的な技で勝利します。
最後は、3人組と対決し・・・というようなストーリーです。
何だか、学園もの、いじめ問題、オタク・中二病要素などなど、全く飽きずに読んでしまえます。

これは、名作の多い今野先生の中でも秀逸ですにで、ぜひとも読んでみてください!

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